見つめ合う時間

2日間のRECを終え、
そのまま深夜に車で帰宅する予定だったが、
もう一泊させていただくことにした。
前日終了したのが夜中の3時だったから。
さすがにそのまま運転はちょっと危険。

目が覚めて宿泊所の片付けをし、
お昼頃、スタジオが開く時間に楽器を積む。

そのあとは近くの施設で大浴場へ。

空気はちょっと冷たい。
お日様があたたかくて優しい。
ここにはレストランもあり、
たくさんの人で賑わっていた。
きっと美味しいのだろうなぁ。

店員さんがお客さんに
「ご予約はされていますか?」
そう必ず聞いていたから。

大浴場に入れる時間まで館内を歩く。

立派な花器が飾られていた。

説明書きは以下の通り。


永遠の魚(生き残った魚)
笠間市 小林政美 作

東日本大震災当時、久慈さんピア日立のレストランに展示して有りましたが
地震・津波による被害の全ての難を逃れた花器です。

そうだ、と思った。
お世話になったスタジオは2階にあり、
機材などは全て無事だったが、
1階は水が来てしまってと、
当時お話されていただことを思い出した。

そんなことを考えながらお風呂へ。
地元のおばあちゃんに混じりながら。
その語らいをBGMに大きなお風呂にゆっくり浸かった。

なんて贅沢なんだろう。

 

お風呂に入った後はゆっくりランチ。

何度もここを訪れていて、
食べるものはコンビニ弁当や、
24時間やっている某牛丼チェーン店。

それはさすがにもったいないと。
少しばかり自分たちへのご褒美だと、
美味しい海鮮丼を頂いた。

ほぐされた身体に染み込んで行く。

そろそろ戻ろう。

そう都内へ出発させる。

慌てなくてもいい。
ゆっくりでいい。

何よりも安全運転第一で。

これがモットーの私たち。
スピードが80キロを少し超えては、
慌てず前に着いて行こう、と。

安定の左車線専用車。

録った音を聴きながら帰る。
聴き入らないように注意しながら。

空が本当に最高だった。

雲の隙間から差し込む光。
伸び伸びと広がる空。

これはみんな、
スピード出したくなるのかもなぁ。

私たちの高速のクライマックスは、
初めて一台の車を追い越した瞬間だった。

「追い越してしまった」と笑った。

夕方頃になると目の前に富士山シルエット。
こんな風に富士山まで眺められるなんて。

目線のまっすぐのところにあり、
日が落ちるまで、しばらくの間ずっと、
富士山は顔を出してくれていたので、
ずっと見つめ合っている気分。
(向こうが見てるのかどうかはさておき ・・・。)

「ありがとうございます」

特に理由なんて無いが、
無意識に小さな声で言っていた。

ようやく着いた東京・新宿。

ここから西川氏の家に機材を置きに。
そのあとは私の家に荷物を置きに。

そして車を返したあとは、

明日の沖縄への出発へ向けての準備だ。

もちろん、この時点で、
まだ何もしていないわけで。

何を持っていけばいいのか、
そちらの切り替えから始める。

レコーディングとライブは、
必要なものが全く違うから。
心構えも何もかも。

でも、やっぱり深く潜れば、
同じ気持ちに辿り着く。

 

 

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