送り出すその日まで

気持ち良い朝。

背伸びをする。
しばらく眺める。

やっぱりオレンジ色の空にうっすらと浮かぶ薄い雲は、
遠くの海の向こう側の島に見える。

国吉亜耶子and西川真吾Duo、
初めてのアルバムantennaに収録されている
“ボクの代わりにセミが泣く”を思い出す。

 

お昼からは中央線に乗る。
土日の中央線はとても複雑だ。

立川まで向かう予定が国立になった。

行き方をきちんと調べていたはずなのだけれど、
三鷹乗り換えのところ、
いつもの癖で吉祥寺で降りてしまい、
再び中央線に乗り三鷹から中央特快に乗る。

普段乗ることの無いスーパー中央線に乗り、
ほんの少しテンションが上がる。

国分寺で降りて再び快速に乗る。
はずだったのに!
降り損ねてしまい立川まで行ってしまった。
ここから1駅、引き返す。

スーパー中央線に乗って、
窓の景色眺めていたら、
あっという間に過ぎてて、
車内放送で気付いた。

調子に乗ったんだな。
完全に浮き足立ってた。

トラップ。

私のお願いで来てもらったのに、
お待たせしてしまった。
ごめんなさい。

 

お願いというのはギターを受け取りに。
「使いたいだけ使って」
そう私のギターを預けて何年になるだろう。

私の百倍くらいの愛情をかけてくれて、
数々のライブで弾いてくれている。

http://kokoro-oto.com/

私にとって心置きなく、
くだらない話も大事な話も出来る、
会話が途切れてもぼんやり出来る、
本当に数少ない男性。

受け取った後はカフェへ。

いいお天気のテラス席で今日は、
「やっぱり理想の家は平屋がいい」という話と、
未だによく理解出来ていないバーチャル世界の話を。
歩数を稼ぐネットワーク上の勝負???

カフェのテラス席の横に、
黄色の倉庫があったのだけれど、
こういう色味が似合うなぁと思ったり。

 

受け取ったギターを背負って、
カブトムシみたいになった私を見て笑っていた。

「映った姿で見てください、笑えますよ。」

そう言っていたから、
家に帰るまで絶対に見ないでおこうと思った。
このギターをレコーディングで試してみよう。

もしも使うことになったら。

すごい年月をかけて、
大切に育ててもらったものが、
自分の作品に収められるんだと思うと、
ちょっと感動する。

そうじゃなくても、
今、側にあることが嬉しいと感じる。
ほんの少しの間だけど。

「おかえり」

そしてまた

「行ってらっしゃい」

送り出すその日まで。

今までの分と、
これからの分の愛情を注ぐ。

 

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