スカートに隠れてた少女は今

私の得意料理。

なんて言うほど、
調理は何もしていないが、
ここ最近、母に作ったご飯で、
一番高評価をいただいたまぐろ漬け丼。

お米を研いでご飯が炊ける間に、
まぐろをめんつゆに漬けておくだけ。
ご飯が炊けたら酢飯にして、
あとは思いのままに乗せるだけ。

何が一番嬉しかったって。
普段お米をそんなに食べない母が、
ペロリと食べてくれたこと。

「800円出せる」

そう一言ボソッとつぶやいたこと。
これならお店に食べに行ってもいいと言ったこと。

いくつになっても、
褒められることは嬉しいもの。
しかもそれが料理だったこと。

ここ最近だと、
褒めてくれることと言えば、
その逞しさや力強さばかり。

車のキーの電池交換とか、
パーツが外れた家具を解体して直すとか、
ベランダの鉄屑や、
プラスチックのパイプを折ったりだとか、
そう言う力仕事が多かったから。

「いつも黙って私のスカートに隠れてたのに」

これは親戚に会ってもよく言われること。
私は幼い頃、本当におとなしくて、
「おいでー」って呼んでも何も言わずに、
じーっと母のロングスカートに隠れて、
チラチラと様子見てたんだよって、
みんながそう言う。

今でもおとなしい方だと
自分では思っているけれど。

母はよく私に言う。

「いつの間にこんなにたくましく」

そう言う。

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