お別れの日

朝早く起きる。
母を羽田空港に迎えに行くため。

飛行機は少し遅れていた。
少なめの荷物でササっと出てきた。

ちょっと肌寒くなった東京。
母はしっかりと着込んでいたので安心。
「寒くない?」と聞いたら「大丈夫」と。
外に出てしばらくしたら
「やっぱりちょっと寒いね」と言っていた。

大好きな方が亡くなった。
今日がお通夜で明日が告別式。

明日の告別式には出席出来ないが、
お通夜に参列出来て良かった。

お顔を見れた。

とても美しくて、
まるで眠っているかのようだった。
きちんとお別れを言えた。

とても大らかな方で、
冗談言ったり、いつでも笑っていた。

「大体のことは何とかなるわよ」
「大丈夫よ」

どんなこともそんな風に、
笑い飛ばせるような大きさがあった。
だから私はお会いするたびに、
たくさんの力をいただいていた。

もっともっとたくさん笑い声を聞きたかった。

でも最期のお顔を見た時に、
とても気持ちよさそうに眠っていらして、
きっとご自身で選んだのだとそう思った。

いつもきれいに髪をセットして、
バッチリお化粧をしていた。

かっこよいままで居たかったのだと。

どうぞ、どうか、
あちらでもたくさん笑顔でいられますように。

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