母の常套手段

母から電話が鳴った。

風邪引いていないか。
体調はどうなのか。
寒いでしょう。

そんなような内容だった。

ここ数日はちょっと暖かいから大丈夫。
でも明日から寒いみたい。
ていうか今、眠いんでしょ。

そんなような会話をした。

母が連絡をしてくる時。
用事があることももちろんあるが、
今までの私の統計によると、
昼過ぎの電話の8割が眠気覚まし。

眠気覚ましのいつも通り、
ありきたりの会話から始まったが、
結構色々と話し込んでしまって、
最後の方にはちょっと忙しいアピール、
めちゃくちゃ切りたい雰囲気を出して来た。

私はその会話の中で、
自分が考えていること、
自分の葛藤や悩みを
母にぶつけたわけである。
そんなことを母に聞いたところで、
答えなんて出るわけがない。

ただ「私はこう思っている」
それを知っておいて欲しいだけだ。

母は突然に
「時の流れに身をまかせ〜」
と一節歌って聴かせてくれる。
それで私は察する。
「今、周りに誰もいないんだな」
これももう何度か聴いている。

「テレサテン本当に好きだな」
そう思い出させてくれる。

そしたら色々なことが
「まあ何とかなるか」
そう思えるから不思議だ。

「そうよ、なるようになるわよ」

電話を切りたくなった時、
話が面倒臭くなった時、
いつも母の常套手段。

コメントを残す