また始まる。
きれいだった夕焼け空。
ピントがずれてしまっている。
私の視点もそんな感じだったかもしれない。
演奏の合間に大きく深呼吸。
ほんの少し前の日が遠い記憶のようだ。
前回、2月5・6日の2日間で、
ドラムとピアノ9曲分を録音した。
帰りの車で録音した音を聞き、
その後も何度か「録り直したい」
そう西川氏が言っていた。
他の楽器を入れてみたり、
別の日に聞いてみたりすると、
「やっぱり大丈夫そうだな」
そんな風にも言っていたけれど、
一度そう言われると気になる。
「録り直したい」
「大丈夫そう」
彼は本当はどうしたいんだろう。
行ったり来たりするその気持ちをきちんと聞く。
しかしやっぱりここは、
「録音し直そう」
そこをチョイスすることにした。
それしかない。
本当の気持ちがどうこうじゃない。
「大丈夫そう」ではダメだ。
「良い」そう胸を張って言えるように。
予算や時間には限りがある。
西川氏は、それを考えて我慢してしまうかもしれない。
だからこそ「やろうよ」
私がそう言えばいいだけの話。
今回は前回の続きだけでなく、
半分はゼロからのスタートになった。
今回はピアノだけなく、
スタジオにある鍵盤も弾かせていただいた。
色々な楽器、たくさんの音色は手に負えない程だ。
前回は先にドラムを録り、その後にピアノを。
今回は西川氏の提案により同時に録った。
同じ部屋の中で一緒に演奏する。
どんなにいい演奏をしても、
片方が間違えたらアウト。
それくらいの緊張感が、
私たちには合っているみたいだ。
プレッシャーを与え合う。
1人で録る時の何倍も疲れた。
だから、より月がきれいに見えたんだな。