父の面影

今回の帰省は、
様々な目的や目標があったわけで、
片付けに関しては正直、
二日目で心が折れそうになったが、
滞在中に何とかなった。

とはいえ、
まだ出さなきゃならないゴミが残っている。

粗大ゴミは連絡して取りに来てもらわなきゃだし、
タイミングが合わずに出せなかった重たいもの、
それらは全部もやせないゴミだから、
置いてても問題はないだろう。

私が持っても重いのだから、
母に4階から階段で下ろさせるわけにはいかない。
だからこれらは、また今度来た時でも良しとした。

母の日プレゼントの
インターホンだけでも良かったのだろうけど、
やると決めたらやらないと気が済まない性格なもので、
後半は意地になっていたなぁ。

身体中、青アザだらけで、
母が「何したの!?」と笑っていた。
大きな家具を運んだり、
重たい本をまとめたりしたから、
その時にぶつけたのだと思う。

筋肉痛だと言ったら、
それも笑っていた。

空港まではタクシーで行った。

運転手のおじさんは、
おしゃべり好きだった。
ずっと話してた。

娘さんの話。

大阪に5年間住んでて離れてたんだけれど、
帰って来たから安心だし嬉しいって。
帰って来てちゃんと働いているから安心だって。
あとはちゃんとお嫁に行ってもらうだけだって。

どこのお父さんお母さんも
きっと想いは同じ。

いつまで経っても
いくつになっても
子供は永遠に子供なんだ。

今回、父の仏壇にお線香をあげに、
おばあちゃんと叔母ちゃんに会いに行ったのだけど、
その時におばあちゃん言ってた。

「絶対に忘れないよ、お腹の中から産まれた子だから」

不思議な話もたくさん聞けた。

父はいつも、
鏡に向かって髪型のセットやらを
一時間もかけて準備をしていたと。
なんだ、私よりも長いじゃないか。

まだ小さな私が、
鏡の前に座る父にすがった時、
「お父さんはもう死ぬかもしらんから」
そう言っていたこと。

おばあちゃんはそれを聞いて、
「何言ってるの、こんなこと言わんで」
「あやちゃん、そんなの嘘だよ!」
と私に言ったこと。

そして私は幼いながらに
おばあちゃんの言う
「嘘」という意味を理解していたと。

父が亡くなってから
「いつ東京から帰ってくるの?」
しばらくずっと聞いていたけれど、
いつの間にかわかっていたと。
5歳くらいになるとちゃんとわかっていたと。

「誰から教えてもらったのかねー」

不思議そうに笑っていた。

おばあちゃん、
夜の空から見た沖縄もすごくきれいだよ。

おばあちゃんはいつも言う。

「本当にお父さんにそっくりだ」

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