人混みダイビング

17時10分発の飛行機だった。
ゆとりをもって、15時頃には出よう。
そう思ってゆっくり荷物を準備していた。

仕事に行っている母から電話が鳴る。

「起きてる?準備してる?」
「空港まで送るよ。」

そう言ってくれたので、
お言葉に甘えさせていただくことにした。

新しくなった母の車に、
自分のCDを持って行った。
5枚中2枚は車にあっただけれど、
残りの3枚は家にあった。

「これも一緒にしてあげて」

そう言って勝手に車に置いてきた。

 

空港まで向かう車の中で話をした。

「何だか忙しかったね、疲れたでしょう」
母に聞くと、
母は得意の「まあまあ」とか「はいはい」
みたいな雰囲気で無言で首を縦に振った。

疲れさせたのは私なんだよな。
しかも、12日から今度は兄が沖縄に帰る予定。

「ひとりになれる時間が11日しかないね。」

そう言ってちょっと笑った。

空港に到着し降ろしてもらう。
「着いたら連絡ちょうだいね」
そう言って仕事へ戻って行った。

車が見えなくなるまで手を振った。

空港に到着したら、
すぐにチケットを受け取り、
搭乗口へ向かった。

那覇空港は蘭の花であふれている。
変わらない光景に嬉しくなる。

飛行機の時間まで余裕があったので、
いつもは通り過ぎる売店を覗いてみた。
美味しそうなパンがあったのでひとつ購入。
クリームパンと迷って、餡子の方にした。
飛行機の中で食べようと思って。

すごく混雑していた。
飛行機もいっぱいだった。
出発時間が予定よりも遅れた。

よくあることだな。

飛行機の中で日々を振り返る。
そして、頂いた本を読む。

 

ちょうど眠くなって来た頃、
車の中で母に言った言葉をふと思い出した。

「お母さん、私はまだまだ自分のことがわかっていないんだな。」

サービスのホットコーヒーは美味しかった。

東京はやっぱり、寒かった。
ダウンを買っていて良かった。
でも、思っていたよりは平気だった。
これくらいなら乗り越えられるな。

「今日はまだマシ、これからすごく寒くなるんだよ」

そうか、これからか。

大丈夫、まだいける。

もう少しなら。

 

CYA!

コメントを残す