ヒストリー 第5章:滑走路

8月24日。

到着したらリハーサル。
前日の夜に荷物を運んでいた。
その中には私の弾く鍵盤もあった。

カートに括られた鍵盤の紐をほどく。
ここで、この紐をほどくなんてなぁ。

この感覚、いつぶりだろう。

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photo by miyu.H

リハーサル中。目の前にケースが転がる。

ライブに自分の鍵盤を持っていくことは滅多にない。
お店に無いときだけ、持って行く。

色々な鍵盤と触れ合うことがすごく好きだし、
それに、お店に置いてある方が”イイもの”であることが多い。
ここで言う”イイもの”とは値段が高いということである。

「値段が高ければイイのかよ」
そう言われそうだが実際のところ、そうだと思う。
ただ、もちろん好みはある。
同じ値段でもメーカーや機種で音は変わる。
同じ人が弾く場合に比較したら、高い方がきっといい音が出るはず。
だからと言って=いい演奏とは限らない。
結局は、弾く人次第なのだ。だから面白い。

話が逸れてしまった。

今回、マイ鍵盤を持ち込んだわけであるが、
持ち込んだのは昨年の9月頃に購入以来5回目くらいかな。
買う時にはやっぱり試奏をする。
「ちょっと音を聞いてみてほしい」悩んで西川氏に相談。
呼び出した場所は、某電気屋さん。

生まれて初めて楽器を買った。
「え、信じられない!」みんなそう言う。
こだわりはない。それなりの音が出れば満足。
ポイントはピアノタッチの88鍵盤、
そして、持ち運び可能な重さであるか。

今回、改名後の名前を前日に発表した。

ステッカーとTシャツ。
そう、グッズも作った。
グッズも作ってみたかった。
今までの名前でもグッズは作れただろうけど、
イメージが湧かなかったし、
それに自分の名前(個人名)を入れたいと思わなかった。
せっかく作るなら、こだわりたい。

Tシャツは襟元のメーカータグの部分まで作った。
作ったタグを、せっかくだからと袖にも付けた。
着心地がいい方がいい。
そう思って生地も柔らかめにした。
ユニセックスはXS〜XLまで。
黒と紺もあるよ。

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レディースはTシャツとワンピースと2種類にした。

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ステッカーは3種類、用意した。
ギザギザの型抜きのものと、キラキラの四角と丸。
子供の頃、ビックリマンシールでキラキラが出てきた時に、
すごく嬉しかった思い出がある。
だから、キラキラステッカーを作ることにした。

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それら全部の個人的なこだわりを、西川氏も了承してくれた。
「やりたいようにしたらいい」そう言ってくれた。
(その割には、揉める事も、もちろんあった)

「そうだ。袋も、準備をしたいなぁ。ハンコとか押したら可愛いよね。」
西川氏が頑張って”消しゴムハンコ”を作ってくれた。
リハーサル終了後にそれを、みんなが押してくれた。
(私はひとつも押していない。)

「なんでも手伝うよ!」そう言ってくれた。
ありがとう、皆、なんて優しいんだ!

photo by miyu.H

物販の準備に関して私がやったことは、値段を書くことだけ。
机で皆が作業中だったから、床で書いた。
だから少し、字がゴツゴツとしていたと思う。

この時は、あまりにもやることが多くて、
「まぁ、読めればいいや」
なんて思っていたけど、やっぱり落ち着いたらきちんと作ろう。

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photo by AZUMA Tatsuya

 

リハーサルが終わってもやることがいっぱいで、
気が付いたらもうお店がオープンする時間。

それでもやっぱり、作業は残っていたし、
私はオープンからスタートの間に、
弾き語りをするか、しないか、で、
結局は”する”ということになった。

正直、弾き語りは得意でない。

「10分くらい?じゃあ、1曲歌ってお話する。」

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photo by miyu.H

上京してきた頃。
日本語の言葉で歌詞を書けず、
英詞で作ったのが最初の曲。

当時、一緒に住んでいた従姉妹のギターを借りて、
その音を頼りに頭で想像して作った曲がある。
ちなみにギターは弾けない。

外国人の知人にその英詞を見せた時、
「ちょっとわからない部分がある。」
そう言われて
「じゃあ、アヤコ語という事で。」
確かそれで納得してもらった。

フラリとそのままステージに上がる。

自身の大した事ないエピソードと共に、
生まれて初めて作った”言葉”のある曲を。

“LAST LETTER”という曲を歌った。

それが、8月24日の始まりだった。

 

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photo by AZUMA Tatsuya

そうだ。
お店のオープン前に顔合わせをした。

顔合わせで突然振られて話した思い、
あれは、ちゃんとみんなに伝わっていたのだろうか。

 

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