街に残っている空気がある。
あの日のこと。
思えばあの日も。
思えばあの日には、もう。
別の日のこと。
あの日は楽しかった。
あの日は笑った。
そんな時間もどんどん薄れていくのだろう。
「忘れたいんだけど忘れられないことがあって」
「うん」
「それはさ」
「うん」
「忘れられないうちは忘れちゃいけないのかな」
「考えないようにしたいいんじゃない」
「勝手に考えてる」
「そっか」
「時間が解決するかな」
「いつか考えなくなるよ」
「そっか」
「うん」
回想録 : written by Ayako KUNIYOSHI